「百花蜜 2」

「日本ミツバチ」たちの林では、10以上ある巣箱のうちハチたちが入っているものが半分もなく、少々寂しい感じが・・・。
理由は、日本固有の野生在来種である「日本ミツバチ」は、とても神経質なので些細なことでも簡単に巣を放棄してしまう逃亡癖があるからだそうです。
群れを作るハチの数も「西洋ミツバチ」の半分以下ということで、集蜜能力がそれほど高くない「日本ミツバチ」の蜂蜜は、安定的な供給が難しい希少な蜂蜜というわけです。
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そもそも養蜂の歴史は大変古く、「日本書紀」(643年)での記載を始めとして、平安時代には蜂蜜が献上品となっていたという文献もいくつか確認されているようです。
江戸時代には各地で養蜂が行なわれるようになりましたが、当時は、卵と同じように蜂蜜もまたとても貴重な品であったに違いありません。
しかし、明治時代になって生産性を重視するために、海外から飼養しやすく、集蜜能力の高い「西洋ミツバチ」が大量に持ち込まれ、現在では、そのほとんど(99%)が「西洋ミツバチ」となってしまいました。
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ところが、この「西洋ミツバチ」には、実は大きな問題がありました。
アメリカ腐蛆病やチョーク病などの疫病を持っていたのです。そのため「西洋ミツバチ」を飼養するためには、抗生物質を投与しなければなりません。生産性を重視する代償として、あの小さなミツバチに薬物を投与し、厳格に人為的管理を行なわなければならないなんて・・・。
残念ながら、現代養鶏の思想と同じです。(「日本ミツバチ」は、病気になりにくいので薬物は必要ないそうです。)
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このように「西洋ミツバチ」を導入することで計画的な量産が可能となった蜂蜜は、3~4ヵ月に
1度の割合で採取されます。これが「単花蜜」と呼ばれる一般的に流通されている蜂蜜で、文字の如く、一種類の花の蜜だけを集めた蜂蜜のことです。集蜜の期間が短いため、「アカシヤ」や「レンゲ」など一種類の花の蜜しか集めることができないのです。
さらには「単花蜜」故のコクのなさを補うため、砂糖や香料、食品添加物が加えられているものも珍しくないようです。
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一方、「日本ミツバチ」の蜂蜜は1年に1度しか採取しないため、四季折々の様々な花の蜜が集められたものとなることから「百花蜜」と呼ばれます。何種類もの花の蜜が、長い時間熟成されたことにより、驚きの深い味わいが創りだされていたというわけです。
まさに ” 自然の恵み” と言うにふさわしい「日本ミツバチ」の「百花蜜」。絶やしてはならない、日本古来の「食文化」のひとつであることは、言うまでもありません。
by bocca-farm | 2011-09-02 21:31 |