「リフレッシュ休産」

昨年発行された 「現代農業2014年11月号」 でも記述しましたが、歩荷農場では以前から
高産卵に育種改良されている鶏の産卵率を飼料米の配合比率を多くしてカロリーを低下
させるなどの方法で意図的に10%ほど抑制する取り組みを行ってきました。
なぜならば、産み過ぎによる鶏たちの産み疲れも重大な健康阻害要因の一つだからです。
産み疲れを緩和してやることで、卵は格段に硬く、強い殻となります。 卵殻は内部を保護
するという重要な役割を持っているので雑菌から卵黄や卵白を守る防御壁となり、衛生的
な高卵質の維持に大きな効果を発揮することになるのです。
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そしてもう一つ大事なことは、それでも産み過ぎてしまう鶏たちの疲れを癒し、卵を産むた
めに使っていた栄養を自分の体に補充してもらうために産卵を休ませてやることです。
通常の養鶏ではこの行為を「強制換羽」と呼び、鶏たちの餌や水を絶つことで強引に産卵
を休止させます。(かなり過激な手法なので当然死亡する鶏もでてきます。)
産卵が休止したのを見計らい再び給餌を始めるのですが、もう一度卵を産み始めるまでに
は数日から数週間(「強制換羽」の程度により異なります。)かかりますので、その間の栄養
を体に取り込むことができ、古い羽を新しく生え変わらせることができるのです。
まさに強制的に換羽を誘導させる人為的な荒技で、 この効果で産み過ぎて脆くなり、 すぐ
に割れてしまいそうな卵殻は一時的に硬い殻に戻るのです。
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歩荷農場では、このような強制的な換羽により鶏たちに苦痛を与えることも多大なストレス
要因と考えることから、 卵を産むことのできないような低い栄養素の餌に切り替えることで
休産させ、鶏たち自らの体に栄養を摂取できるように導きます。当然、通常の 「強制換羽」
の倍以上時間はかかりますが、生産効率よりもストレスのない健康的な鶏の育成を不変の
理念とする歩荷農場では、これを「リフレッシュ休産」と呼び、産卵開始から8ヵ月ほど経った
頃に様子を見ながら実施します。
リフレッシュを終えた鶏たちは見違えるようにきれいな色艶の羽に戻り、一段と硬い卵殻の
立派な卵を産んでくれるようになります。
写真は昨年3月中旬に導入した鶏たちの産卵から8ヵ月目の「リフレッシュ休産」、すなわち
羽の抜け替わる様子です。今後この鶏たちは後4ヵ月ほどの間、再び硬い殻の健康な卵を
立派に産んでくれます。
by bocca-farm | 2015-02-07 19:15 |